「物も人も金も情も減っていく」6/13(月) 今日のとと姉ちゃん 第61話(第十一週) 第11週 「常子、失業する」 2016年06月13日 0 「また、おばあさまのところ行くの?よっちゃん、もうすぐ試験でしょ?もうちょっと勉強したら?ねえ、とと姉」「ん~?・・・いいんじゃない。よっちゃんだって、分かってるわよ。じゃあね、いってきまーす」「「・・・」」「とと姉、変わったね。前なら絶対に小言を言ってたもの」「うん」 ---「多田さん、手伝いますよ」「…。手伝うっていっても、仕事がないもの」「え?でも今、タイプを打ってましたよね?」「あはっ。練習よ。何か打ってないと眠くなっちゃうから。何だか仕事が減ってきたわね。このままじゃ、この中から誰かを辞めさせられる、なんてことも…」「ええ~?まさか」「だって、まず切るなら女子社員からでしょ?ない話じゃないと思う…」「…」時代は暗く、重く、なっていいっていた。それは森田屋も、青柳商店も例外ではない。森田屋では仕入れが出来ず、青柳家も真面目に商売をしていては利益が出せない状態になっていた。自分や家族を守るために他人への情を捨てなければいけない、そんな殺伐とした空気に世の中が染まっていく。「なんだって!?世間に顔向けできないような商売をするっていうのかい!」「し~!!声を抑えて…ッ」「・・・女将さん、生意気を言うようですが、あっしあ、清さんの言うこと、間違っちゃいねえと思います。今年に入って、3人も兵隊に取られました。みんなの間でも動揺が広がっています」「…。青柳の看板をしょってるのはあたしだ。・・・私の意見に従ってもらう」苦い顔をしながらも、反対はしない清に隈井。2人だとて進んで公道を外れたいはずもないのだ。「女将さん。自治会長さんがお見えになっております」「後にしておくれ」「へえ。ただ、陸軍の通達という話でして」「―!」---せめて気持ちだけでも明るく!常子は元気よく帰宅の挨拶をする。「ただ今帰りましたー!あっ!?」玄関には宗吉とまつがうずくまっている。「はは、おかえり。待ってたよ」「ささ、ちょっとこっちに来な」一同が集められている。そして言いづらそうに切り出した。「すまねえ!給金なんだが、今月…払えそうにねえんだ」「「「えっ」」」「仕入れが出来ねえから碌な弁当が作れねえ。そうすると注文も減っちまって…。本当にすまねえが…」「…わかりました」「私も、わかりました」「そうか、そうか。すまない。賄いはキッチリ出すから!しばらく辛抱しておくれ、な?」---「なんだか心配。だってかか。ただ働きってことでしょ?」「このご時世、首にされたって文句言えないわ。置いてもらえるだけでもありがたいんですよ」「そうそう!大丈夫!私がその分、いっぱい稼ぐから」不安そうな姉妹に笑顔が戻る。そして、その言葉通りに常子は翌日からさらに頑張って働くのだった。---「ね、小橋さん。今日、ビアホールにいかない?」「多田さん。ん~・・・ごめん。しばらく、贅沢はできなくて」「え~。実はうちの弟たちが今反抗期で…どうしたらいいか、相談したかったのにな」「そっか。・・・じゃあ、少しだけ」「ホント!?あ、じゃあちょっと待ってて。荷物持ってくるから」ひとりタイプ室に戻った多田。隣室からの話し声に気づく。それは部長と課長が一人採用枠を作るために、だれかを辞めさせたら、というものだった。---ビアホールは不景気が関係ないくらいににぎわっていた。そこで常子達は酔客に絡まれる。「女がビアホールかよ。いいご身分だなぁ!ひらひらオシャレを楽しんで気楽なもんだ」「・・・贅沢はしていません」「ふん、貧乏くせえマフラーだ」「ちょっ!やめてください!」勝手に取り上げ、踏みつける男たち。大事な、大事なマフラーを!常子は怒り男の頬を叩く。すると逆上した男たちがいよいよ暴れ出した。つづく感想!男が最低なのは当然だが、常子達もこの時代に女たち二人だけでビアホールって、かなり不用意だと思う…。しかも、時代がすさんでるしさ。憂さが溜まってる輩も多いからその分トラブルは多いだろ。ただ気になるのがラスト。多田さん、ひとり逃げてなかった?あと森田屋。泣けてくるよ、ここまでくると。どんだけいい人なの。それともバカなの。あの絵面。完全に主従が逆だったね。はっきり言ってこれだけ注文量が少ないんだから、君子なんていらないと思うんだけど…。隣に熨斗付けて返さないなんてすごすぎるわ。そして富江ちゃん、何気にカップルの距離になってたね。うふふー♪ PR